Ecole du Louvreは、ルーヴル宮殿の端に位置する美術史の学校です。
チュイルリー公園の、マイヨールの彫刻を抜けたところが入口。
将来、フランス国内の学芸員や文化遺産関連の職につくエリート達を
養成する学校で、入学・進学・卒業ともに大変という話をよく聞きます。
先生方も、ルーヴルやオルセー美術館の学芸員、
パリ大学の教授、文化遺産の学芸員など、それぞれの現場で活躍している人ばかり。
正規の学生として入学するのは大変ですが、
しっかり受講料を払って聴講生として登録すれば、
誰でも授業を受けることができます。
私も今年はルーヴルのグラフィック・アート部門の学芸員の方による
17世紀フランスのデッサンについての授業と、
1939年から1954年、最晩年のマティスについての授業に登録しています。
内容もかなり専門的ですが、何よりスライドで見せられる資料が貴重なものばかり。
カタログや画集にも掲載されていない、美術館の学芸員でなければ
なかなか辿り付けないようなマニアックな資料が満載です。
特にデッサンの授業では、
17世紀の作家の、地方の美術館のコレクションや新規収蔵品も含めた
ありとあらゆるデッサンが次々に出てきて、
それが絵画作品や版画、他のデッサンと有機的に結びついていくさまがよく分かります。
デッサン研究をするには、
情報収集能力はもちろん、イメージの記憶力が必要だなと実感。
私は一度きちんと見たイメージは結構記憶している方だと思いますが、
そこからさらに、別の新しいイメージを見たときに関連性に気付けるか。
今は見た資料をどんどん写真に写せて、それに満足してしまいがちだけど、
眼の訓練もやっぱり必要ですね。
それにしても、実際に出席してみて驚いたのが、聴講生の多さ....
しかもほぼ99%が仕事を退職されたマダム&ムッシューたちです。
300人は入ろうかという大講義室が、熱心な聴講生で瞬く間に埋め尽くされていきます。
マダムたちはだいたい友達同士のグループで登録しているようで、
ちょっとしたサロンの雰囲気も漂いますが、しっかりノートも取っていて
その知識欲には敬服するばかり。
来年度は、修復家の方の絵画技法についての授業に出てみたいです。
画家たちがデッサンに使っていた画材についても知っておきたい。
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