4/30/2013

菜の花畑







和食ブーム


 4月はなんだか色々考えたり準備したりしているうちに
あっという間に終わってしまいました。

そして、明日から5月だというのに、
パリはこの期に及んでなおまだ寒いです。
しかも、寮の中央暖房も切られてしまったので、
朝方は凍えてくしゃみが出ます。

そんな鬱屈したお天気を忘れるべく、
ここ最近和食ブームが到来。
ひとりで夜な夜な和の宴を繰り広げています。


 ひじきごはんと洋風豚汁風スープ。
 両方とも昆布と鰹節でだしを取って、
ひじきごはんの方はみりんが切れたので白ワインと蜂蜜で代用。
洋風豚汁はラードン(厚いベーコン)と、人参、椎茸、カブ、ポワロー(葱)、
そして旬のアスパラを煮て味噌仕立てに。 
味噌は万能!


 続いては、白米と豚肉の塩麹焼き、高野豆腐の卵とじ。
 塩麹は日本から持ってきたんですが、お肉が感動的に柔らかくなるし、
調味料を加える必要もないし、大流行した理由が分かりました。
 高野豆腐には蜂蜜を使って優しい甘みに。


 豪華なちらし寿司。
見てもらえば分かりますが、私が作ったのではありません...!
バイト先で余ったのをいただきました。
bulotと呼ばれるツブ貝がおいしかったです。
この日ばかりは白ワインを開けてしまいました。


デザートには葛まんじゅう。
 四万十川の緑茶とともに。
日本からいい器を持って来た甲斐がありました。


 ちなみに自分でちらし寿司を作るとこうなります。
 
さすがに蛸やら鯵やらは揃えられませんが、 
手作り感があるということで...。
左の料理は肉じゃが(風)。
お肉のせいで、日本で作るようにはいきませんでした。

 そしてパリにいる人にも日本にいる人にもお勧めなのがこちら。
 お醤油とオリーブオイルを加えて炊いたご飯に、
炒めた野菜(玉葱や人参、パプリカ、きのこ)とベーコンを混ぜるだけ。
お手軽な和洋折衷料理、すごくおいしいです。

という、日本にいる時よりも手の込んだ和食を
満喫している 今日このごろでした。

部屋に日本酒が2本あるので、
次はお酒に合う料理を作りたいと思います。


ともあれ、
早く暖かくなりますように。

4/21/2013

Ciel rose






美しい景色に触れると
なぜか頭の中に流れる旋律。




映画Méprisをはじめて見たのは20歳のとき。
忘れもしない、
パリ第3大学の古びた校舎にある
殺風景なシネマテークだったのですが。

こんなオーケストラの演奏を聴いたら鳥肌が立ちそう。

数年前の春の夜、
吉祥寺の呑み屋で、当時の指導教授がふと呟いた
「この曲を聴いてるともう僕はどうなってもいいという気分になる」
というかっこ良すぎる台詞を思い出します。

4/13/2013

Salon du dessin & Drawing Now 2013


マリヴォーさんとボードレールくんを誘って
パリの春の祭典、Salon du dessin と Drawing Nowを訪れました。
両方とも、一言でいってしまえばデッサンのアート・フェアです。

日本語でも、「デッサン」と「ドローイング」という
言葉の響きには、そこはかとなく時代的な線引きがあると思います。
(デッサンはルネサンスから近代、ドローイングは現代というような)

 たとえば、
「ドラクロワのドローイング」
「サイ・トゥオンブリーのデッサン」
 というとちょっと違和感ありませんか?

どうやら、この2つのイベントのネーミングを見る限り、
フランスでも事情は似通っているようです。 
もちろん、フランス語のdessin=英語のdrawingですし、
厳密な定義があるわけでもなく、あくまでも感覚的なレベルで 。


まずは、ルーヴル宮殿の地下で開催されるDrawing Nowから訪れました。
今年で7回目を迎えるこのアート・フェアは、
審査委員会によって選出された約80のギャラリーが 集い、
 1960年代から現代までの作品を中心に扱います。

昨年のゼミのゲストだった
Drawing Now創始者であるChristine Phalさんの話によると、
はじまりはバスティーユの小さなギャラリーで、
企画と趣旨に賛同するギャラリーが徐々に増え、
現在の規模になったとのこと。

 ところで、最初の頃は
Salon du dessin contemporainという名前だったのを、
4回目の開催からDrawing Nowに改めたそうです。

現代のデッサンを扱うという意味もあると思いますが、
Bernice Roseが1976年にMOMAで企画した
Drawing Now展も念頭にあったことでしょう。

  
ご覧の通り、かなりのにぎわい。
やっぱりデッサンは値段的にも、サイズ的にも
買える可能性が高いですもんね。


しかしウォルフガング・ライプのデッサンは
とても手が出る値段じゃありませんでした。


アンリ・ミショーも然り。
ボードレールくんは果敢にも値段を尋ねていましたが撃沈。


ドローイングと言っても媒体はさまざまで、
紙だけではなく本、写真、映像作品と色々ありました。


アート・フェアなので仕方がないのかもしれませんが、
全体的に散漫としていて、
Nowと謳っているにもかかわらず
現代の動向が見えずらかったのが残念でした。



 続いては、お楽しみのSalon du dessinへ。
会場はBourse、旧証券取引所です。

今年で22回目のこちらのサロンは、
39のギャラリーという少数精鋭!


 ルネサンスから近代まで、美術研究者、文学研究者
垂涎の作品がずらり。
 壁の色もシックなワインレッド。


ユゴーとブレズダン。
ブレズダンはエッチングではなく、
インクのデッサンなのです!ひえぇ。

ため息が出るほど素敵なドラクロワの樹のデッサン。 
去年も出ていたのですが、ついに買い手が決まったようです。うぬぬ。

そしてボナールの水彩画やデッサンもありました。

ボナールの小さなデッサンの前に立ち、
食い入るように見つめる私。
それに気付いて近づくステッキを携えた初老のムッシュー(貴族の家系の大富豪)が
背後から穏やかに囁く。
「そんなにこの絵が気に入ったの?僕が買ってあげよう。」

....
 という妄想は今年も現実にはなりませんでした。

ブラックの年賀状も額に入れれば立派な作品。


ざっと一周した限りでの最高額は
ヴァザーリでした。
やっぱり歴史の重みでしょうか。

 
万が一にもそんな可能性はないのですが、
それでもやっぱり目の前で作品が売られていて、
もしかしたら自分のものになるかもしれないという状態は、
美術館で見るのとはひと味もふた味も違う興奮がありました。

4/11/2013

MOYNAT


4月も10日を過ぎたというのに、
今日のパリはまだ寒いです。

せめて気分だけでもと思い、
blogのデザインをピンク色にしてみました。
春限定です。

そしてたまにはパリらしい記事も書いてみようということで、
先日訪れた老舗鞄ブランドMOYNATについて。
モワナと読みます...かわいい響き。

創業は1849年。
Louis Vuittonよりも歴史があるそう。
サントノレ通りにあるお店はどこを見ても完璧に洗練されています。

そんなお店へ、買い物に行ったわけではもちろんありません。
実はここでパリのボザールの川俣アトリエを卒業した
韓国人の友人が働いているんです。

彼女は、この世のなかに
こんなに素直で無邪気な女の子がいるのかと思うくらい
まっすぐな心根の持ち主。

詳しくは書きませんが、
彼女の生き方の誠実さが幸いして、
なかばスカウトのようなかたちでこのお店で働きはじめました。

この日は、
ボザールでディプロムを取得したばかりの友人ホッパーさんの展示を見たあと、
2人して日本食が恋しいという話になり、
早速セーヌを渡ってまつだというお店でちらし寿司を食べて(おいしかった!)、
そういえばこの近くにMOYNATがあるよということで、
仕事中の彼女のもとにお邪魔しました。

古い旅行鞄と新しいハンドバックが混在する店内。

1849年というと自動車が普及しはじめた時代で、
創業当初は自動車に乗せて運ぶ大型の旅行鞄を作っていたそうです。
すべて手描きのモノグラムが少し色褪せた風合いが美しかったな。

現代のハンドバックもころんとした素敵なデザイン。

友人は、バックを購入したお客さまの希望で
イニシャルなどのロゴを手描きで入れるお仕事をしています。

そして、今ショーウィンドウに飾ってある
イラストも手がけたとのこと。



おもわず写真を撮ってしまいました。

いつか、大人になったら約3000ユーロの鞄を買いにきたいと思います。

4/07/2013

印象派の島とcneai=


お天気の良い週末、
フランス人の友人を誘ってパリ郊外の印象派の島に出かけました。

セーヌ河に浮かぶ細長い島は
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、
パリの喧噪をのがれ
自然のなかで舟遊びやピクニックを楽しむ人々で溢れた場所です。

ルノワールやモネ、シスレー、カイユボットら印象派の画家たちが訪れ、
制作をしたことから「印象派の島 [L'île des Impressionnistes]」と呼ばれています。
本当の名前はL'île de Chatou。

印象派だけでなく、モーパッサンやフローベールら文豪も遊びに来ていたそう。

 

 橋を渡って島に降りていくと、
可愛らしい家々が迎えてくれました。
ペンキが綺麗に塗られすぎて、ややテーマパークっぽいけれど。
 


さて、目的はこちら「cneai=(クナイと読みます)」
Centre National Edition Art Imageの略です。
 
 

1997年に設立され、印刷物の出版や展覧会やイベントの企画、
船上でのアーティスト・レジデンスなどを手がける施設。

ここでムナーリの"Seeking comfort in un incomfortable chair" (1997)
に関する"Reading Dance"という展覧会が行われているという
情報をキャッチ。

このタイトルは
ダンサーかつ振付師、そしてムナーリの友人でもあった
Remy Charlipが70年代に振り付けをした
肘掛け椅子でのダンスのタイトルをそのまま取ったものだそう。
 
 建物は、かつてドランやヴラマンクらフォーヴィスムの画家たちが
アトリエにしていた場所でもあります。

開けっ放しの入口を入ると、
ムナーリのポスターと青い椅子。 


さらに中に進むとお兄さんが座っていて、
親切に色々と説明してくれました。

展覧会は、ムナーリの作品のコンセプトをもとに、
Lenor Antunes、Pablo Bronstein、Koenraad Dedobbeleer、
Yann Sérandour、Johannes Wohnseifer、Erwin Wurmといった
現代のアーティストたちが制作したポスターを展示するという通な内容。

他にもいくつかの展覧会を同時開催していました。


cneai=の前は広場になっていて、
セーヌ河が穏やかに流れます。


河畔にはルノワールの作品パネルがしっかり立っていました。
といっても実際に残っているのはセーヌ河と空だけですけど。



このChatou島で描かれた最も有名な作品がこちら。
《舟遊びをする人々の昼食》1881年 フィリップス・コレクション蔵


ルノワールの絵の舞台になり、現在も営業されている
レストラン・フルネーズ。
 まだ少し肌寒かったけど、テラスで食事をとる人たちがいました。

 ふと川べりに視線を落すと、小ガモたちの行進の列が。
か、か、かわいい....♡♡♡

どうやら傍らで優雅に泳ぐお母さんとはぐれてしまった様子。

てくてくと進んで、この先の土手に生えた木の間から飛び込むことになったようで、
一羽ずつ、ふらつきながらもダイブ。

居合わせたカップルやマダムと、Allez! Courage!! 「行け! がんばれ!!」と
固唾をのんで応援しました。
 

 無事にみんな飛び降りて、
お母さん鴨と合流。


親子そろって上流の方へ泳いでいきました。
よかったよかった。


帰り道、出会った黒と白と青の美しい鳥。
シテでもよく見かけるんですが、
どなたか、この鳥の名前を知らないでしょうか?







4/04/2013

桜舞う


こちらパリは、
春ですと言いつつも、
ようやく訪れた春の気配が3日のうちに霧散し、
またグレーの寒空に戻ってしまいました。

でも四国は桜満開のもよう。


 太鼓橋でポーズ。


「満開だよ」と満面の笑顔。


なんだか、また可愛さに磨きがかかっている気がします。

 



幸せそうで何より...♡ 
はやく帰ってもふもふしたいな。