8/17/2013

マルセイユ 美術館と地中海


到着した日のマルセイユの空は真っ青。
ロンシャン宮の白が映えます。


ロンシャン宮の一画が美術館になっており、
Le Grand atelier du Midiの
「ゴッホからボナールまで」を開催中。

緑の樹々に囲まれたボナールの絵を拡大した看板。
テンションが上がります!
展覧会自体は、オーソドックスな構成で、
南仏を舞台に制作した画家たちの作品が展示されていました。
 
 展示の後は、港の方へ。

対岸の丘の上には、
ノートルダム・ド・ラ・ギャルド教会が見えます。

この日はFête de la Musique(音楽祭)で、
街中で歌や音楽、踊りが溢れていました。

 主役はマルセイユに暮らす人々。
この声楽隊のおじちゃんおばちゃんたちは照れてしまって声が小さく、
手前の女性が一生懸命盛り上げていました。

海の男たちのバンドがかっこよかったです。

ところで今やフランスの6月の風物詩となったFête de la Musiqueを
発案し、広めたのが時の文化大臣ジャック・ラング。

当初街中で音楽祭なんてできるわけないと危ぶまれていたそうですが、
いよいよ第一回の開催日の直前になって
ジャック・ラングは奥さまと手分けしてあらゆる機関やメディアに電話をかけまくり、
当日街には音楽が溢れたそうです。

発想の豊かさと行動力、見習いたいです。 

日が沈む海を横目に向かったのが、オープンしたばかりの
 やはり、2013年ヨーロッパの文化都市事業の一環です。

こちらの博物館、何と行っても特徴的なのがこの編み目模様の建築。


しかも夜は蒼く光ります。

ミロの大きなタブローからはじまる、
地中海の文明展を開催中でした。

  
この博物館はいくつかの建物と展示から成っています。



周りのコンクリートに光が反射して幻想的。


お隣の建築もクールです。


翌日は美術史仲間に薦められたカンティーニ美術館へ。
小さな美術館ですが、フォーヴィスムの絵画を中心に名品が揃っています。

 驚いたのが、具体のコレクション。奥の一部屋が具体のために使われていました。

ラウル・デュフィのセザンヌ風の絵がとてもよかったです。

 美術鑑賞の後は、せっかくマルセイユまで来たということで、
海に繰り出しました!
  
フェリーに乗って、フリウール島へ。
隣になったイスラームのカップルがとても仲睦まじかったです。

 こちらはイフ島。この日は波が荒くて船が出ていませんでした。

 フリウール島に降り立つと、白い岩肌の山と青緑色のビーチ。

もちろん水着など持ってないし、何があるのかも調べずに
ただ船に乗って島に行きたいという勢いで来てしまいました。

岩山に道があったので、登ってみることに。

カモメが頭上を飛んでいきます。
そして、頂上付近まできて海を見下ろすと、
フリードリヒが描いていたような絶景。


 気持ちよかったです!

 めずらしい植物もたくさん。

 のほほんと岩山を進んでいくと、
 突然ただならぬ光景が。
かつて、ここに病院があったようです。
ただ骨組みが残ってしまっただけかもしれませんが、
紺碧の空と海を背景に立つ十字の柱は異様な光景で、
ドイツから来たという屈強そうな男の子たちが
完全にびびっていました。

 カモメは近くで見るとなかなかいじわるそうな顔をしています。

カモメ以外の鳥も。
 
マルセイユに戻って、
ノートルダム・ド・ラ・ギャルド大聖堂へ。
  
 暑くて長い道程でした...。

港町だけあって、航海の無事を祈る大聖堂らしく、
内部の装飾には海のモチーフがふんだんに使われていました。

今回、マルセイユ一人旅でしたが、
美術館の夜間開館のあと
歩いてホテルまで戻る途中に
完全に雰囲気の違う駅前の道に迷いこんでしまい、
必死で通り抜けて何事もありませんでしたが、
あれは失敗だったなと反省しています。

夜歩くときは多少遠回りになっても、
ちゃんと人通りのある通りを選んで歩くことをおすすめします。
大通りであれば、そんなに怖い感じはしなかったです。

8/16/2013

エクス=アン=プロヴァンス 泉湧くセザンヌの故郷

エクスは都市というほど大きくはありませんが、
学生と観光客でにぎわう活気ある街。

 旧市街を中心に、
19世紀どころか、16世紀、17世紀の建物まで残っており、
歴史が自然と現代に溶け込んでいます。


エクスは泉の街。
あちこちで、個性的な噴水に出くわします。


そして強烈な南仏の太陽。
日本の夏とは違い、湿気がないせいか、
太陽光線が肌に突き刺さるようでした。


 坂を登った街外れにあるセザンヌの生家。
父は商人、そして銀行家として財を成しただけあって、
なかなか立派な建物です。



人であふれる日中も楽しいけれど、
早朝の静まり返った旧市街には
違う時間が流れていました。


エクスのグラネ美術館では、
南仏が2013年のヨーロッパ文化都市に選ばれたこともあり、
マルセイユの美術館と共同で、Le Grand atelier du midi展を企画。
マルセイユは「ゴッホからボナールまで」
エクスは「セザンヌからマティスまで」と銘打って
南仏で制作した作家たちの作品が一堂に会します。

現在セザンヌの作品は世界中に散らばっており、
グラネ美術館が所蔵しているのはわずかに1点なのですが、
この展覧会期間中は数点のセザンヌの作品が里帰り。

 たくさんの人でにぎわっていました。
セザンヌが、画学生時代に残した
複製画などもあり興味深かったです。


セザンヌの作品を見た後は、
丘の中腹にある画家のアトリエへ。

中心部から、歩いて20分くらいでしょうか。


中では写真が撮れませんでしたが、
セザンヌの静物画に描かれている
壺や壜たちが変わらぬ姿で慎ましく並んでいました。


私なんかはセザンヌが専門というわけでもないし、
先輩や教授の発表を通して親近感を抱いていた程度でしたが、
画家が制作をしていた場所を見られるというのは、
貴重な経験でした。

ジャン=クロード=レーベンシュタインの『セザンヌのエチュード』を
もう一度読み返そうと思います。
 最後に、サント=ヴィクトワール山の見えるローヴの丘へ。
アトリエからさらに20分ほど坂を登ったところにあります。
 セザンヌも、毎日のようにこの丘に登り、制作していたようです。


サント=ヴィクトワール山はどうしても見たいと思っていたので、
時間がぎりぎりだったんですが、急いでとっとこ登りました。

思ったよりも遠く小さく感じて、
 でもセザンヌのようにずっと眺めていたら、
 もっと近くに感じられたのかもしれません。


この旅で唯一見かけたラヴェンダー。

アルル 古代ローマとゴッホの街


フランスの中でも、一番強い憧憬の念を抱いていたのが南仏の地。
中学生の頃には、ゴッホが日本に魅せられてアルルに滞在したことを知り、
高校生の美術部では、行ったこともない南仏の風景を
丹念に油絵で描いていました。

いつか、気候が良い季節に行こうと
大事に取っておいた南仏旅行。

ついに、留学からの帰国直前に決行しました。

アルルは、石造りの家々が美しいちいさな街。


 ゴッホが描いたカフェも、同じ場所に残っていました。

《夜のカフェテラス》は飽くことなく眺め、
 黄色く輝くカフェはもちろん、
中景から後景へと続く街並み、暗い石畳の路地、
そこに流れる空気に思いを馳せたものです。


 ちょうど訪れた日はお祭りだったらしく、
夜になると民族衣装を纏ったアルルの住人たちが集まり、
夜遅くまで踊っていました。


アルルは、古代ローマの遺跡が残る街でもあります。


 コンスタンティヌス帝の大浴場の遺跡に潜り込んでいた猫。


古代劇場は、今でも街の催しに使われているようです。




 こちらもゴッホが描いているかつての療養院の庭。



  
ランチは、南仏の赤ワインと、茄子やトマトを使ったプロヴァンス料理。

さらに現代のアルルは、写真祭でも有名なのですが、
少し訪れるタイミングが早かったです。

 南仏にはいつかまた戻ってきたいです。
車の運転ができる人と一緒に....