6/16/2012

アート・バーゼル 2012


スイス〜ドイツ美術巡礼の最初の目的地はバーゼル。
2012年の6月14日から17日にかけて開催されたArt Baselに行くためです。




Art Baselとは、1970年代にギャラリストたちが始めた近現代アートのフェア。
つまりギャラリーがそれぞれのブースで作品を紹介し、実際に作品が売買される場所。
毎年4日間の期間中、巨額のお金が動くArt BaselのメインスポンサーはUBS銀行、
世界に数あるアート・フェアのなかでも最も歴史があり、規模も抜きん出ています。

ヴェネツィア・ビエンナーレやアート・バーゼル、ドクメンタetc...
海外の現代アートの祭典は、日本からだと日数も費用もかかるためなかなか行けず、
一体どんな雰囲気なのか、実際に訪れた人がインターネットや雑誌に執筆した
レビューを必死で読んで想像をふくらませていました。

でも今回の留学中は、その気になればヨーロッパならどこにだって行けます。
折しも今年は5年に1回のドクメンタが開かれる年ということで、
アート・バーゼルとあわせて訪れることに。

バーゼルは2回目の訪問なので安心です。




滞在中、バーゼル市立美術館も訪れました。
ホルバインの《死せるキリスト》が所蔵されていることで有名。



時代や地域ごとに落ち着いた色合いの壁で統一された展示室。
19世紀の室内装飾を取り入れ、床から数十センチのところまでは木目張り。



ホルバインはもちろん、クラナッハの聖母子像や
グリューネヴァルトの磔形図も見所だと思います。


アート・バーゼルの会場は、駅からは少し離れたところにあり、
巨大な展示会場Messe BaselのHall1と2の二つの建物になります。

Hall1は、Art Unlimitedの名のもとに、
大型インスタレーションや映像を中心とした
現代アートの展覧会が開かれます。

今年はNew Yorkを拠点に活動するGianni Jetzer氏がキュレーションを務め、
61の作品が集められました。



Damian Ortega, Architecture Without Architects, 2010  
私的な空間を覆う壁や床や天井を取り去り、家具と扉を本来あるべき位置に
吊るすことで、日常を非日常へと変貌させる作品。

Jitish Kallat, Epilogue, 2010-2011
作家の父親が生まれてから死ぬまでの月の満ち欠けを、インドのrotiというパンで
表した写真作品。長い通路に2万2千個もの月が並んでいました。

Robert Morris, Untitled (Scatter Piece), 1969
1969年のLeo Castelli Gallery、Institut of Contemporary Art in Philadelphiaで過去に展示された
インスタレーションを、モリスが2010年にドローイングを元に再制作したもの。
切り刻まれた布や金属が床に散らばり、その間を縫うように歩くことができます。

Ragnar Kjartansson, The End-Venezia, 2009
2009年のヴェネツィア・ビエンナーレの際に6ヶ月を費やして制作された144点の人物画。
継続的なパフォーマンスとして行われた絵画制作、展示も時系列になっているそう。

Alicja Kwade, In Circles, 2012
様々なマテリアルを円状に並べたインスタレーション。

ひとりふらっとやって来た日本人としては、島袋さんのFish and Chipsが
出品されていてほっこりしました。青緑色の中に漂う白くまるいもの....
何かな〜と眺めていると何とジャガイモなのです。
それを魚が追いかけているという映像。
そこはかとなく詩的で、タイトルを思い出して思わず笑みがこぼれる作品。
ワタリウムの展覧会がなつかしいなぁ。

ちなみにArt Unlimitedの作品も購入することもできるようですが、
買った後の設置場所や管理がうんと大変そう...。

Hall2はギャラリーのブースが並ぶアート・フェア会場。
広さが半端ではありません...1日目でまだまだ元気だったはずなのに、
数時間で足が棒になってしまいました。会場の混雑もなかなかのもの。


今年の最も高い作品はロスコの$78 million (約60億円)だったようで、
この作品だけ警備員の方が張り付いていましたが、
会場全体を見るとやはり現在Pompidouで個展開催中のリヒターの作品が多かったです。


欧州が経済危機に揺れるいま、一体どれほどの作品が売れたのかは分かりませんが、
UBS銀行が支えるArt Baselはまだまだ活気があるように私の眼には映りました。

2日目は街はずれのユースホテルに泊まり、
朝早く散歩に出かけて、可愛らしい家並みを満喫しました。







パリからたった3時間のバーゼル、また面白い展覧会があれば足を運んでしまいそうです。

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