6/24/2012

ヴィンタートゥール 美術館の街


チューリヒ滞在の2日目は、列車で20分ほどのところにある小都市Winterthurへ。

カタカナ表記をどうするかは迷うところですが、
日本人には「ヴィンタートゥール」の方が馴染みやすく、
ドイツ語の発音としては「ヴィンタートゥーア」の方がより近いのかな。
ざっとHPで検索してみても混在していますね。

そんなWinterthurは美術館のメッカ。
決して大きいとはいえない街のなかに、たくさんの美術館がひしめいています。



まずは、Kunstmuseum Winterthurへ。
この場所には、個人的に並々ならぬ思い入れがあります。
写真越しに何度も見た美術館の佇まい...ついにやって来ました。




エントランスには、図版でしか見たことのなかったK.-X. ルーセルの壁画。




そして作品たちとの再会。
ゴッホもモネもルドンもボナールもヴュイヤールも...
みんなちゃんと然るべき場所に戻っていました。


部屋の形がどことなく世田谷美術館での展覧会の会場設計と似ていて、嬉しかったです。



この作品たちと過ごした期間は、新たな経験をして、色々なことを考えました。

ある日の会議室で、あれはインターン生たちが来た日だったかな。
出品作のひとつに、とても色鮮やかなピカソが1点混ざっていたんですが、
そんなピカソも、この美術館のコレクションとして展示され鑑賞されてきたことで、
他のどこでもないWinterthurのピカソになる、それが文化だと、
なぜだかそこにいらっしゃった館長がさりげなく語ってくれたことを思い出します。



ジャコメッティは、光が差し込む清々しい部屋に鎮座していました。



こちらは新館。ギザギザの屋根が特徴の開放的な空間。
Verena Loewensbergの展覧会を開催中でした。





扉を出ると、アルプホルンの演奏が。


新館の外観はこんな感じ。



街の中心部は旧市街ですが、少し郊外にも立派なお屋敷が並んでいます。


そんなお屋敷を横目にぐんぐん坂を上って、階段を登って....




巷では(?)美術史の学生なら一度は行くべきと言われている
Oskar Reinhart Am Römerholz コレクションへ。
Winterthurのアート・コレクターであるオスカー・ラインハルトのコレクションを
彼の生家で見ることができます。




決して作品点数が多いわけでもなく、有名作家を網羅しているわけでもないんですが、
深い美術史の知識と類い稀なセンスによって集められた
中世〜近代美術の作品たちは珠玉揃い。

隣に並んでいたのはシャルダンとセザンヌの林檎...貴重な鑑賞体験でした。

邸宅の雰囲気を残しつつ、洗練された展示空間の美しさも群を抜いています。




旧市街に戻り、もうひとつのラインハルトコレクションへ。

Museum Oskar Reinhart Am Stadtgartenは、フリードリヒを筆頭に、
ドイツロマン主義の絵画が揃います。


展示室もやっぱり上品。そして人がほとんどいないので独り占めできます。





Winterthurで最後に訪れたのは、Fotomuseum
こちらも写真専門の美術館として有名だそう。



確かに展覧会の内容も展示の手法も面白かったです。
杉本博司さんの作品も出品されていました。




やりきったという思いでFotomuseumを後にした瞬間、
向かいにもうひとつ写真の美術館があるのを発見してしまい、
閉館まで20分のところを駆け足で見せてもらいました。

初めて見るジャコメッティのアトリエの写真もあり、
無理を言って入れてもらって良かった。





さすがの私も1日で5つの美術館を梯子というのはきつかったらしく、
駅に戻った頃には頭も身体もふらふらでした。




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