5/21/2012

Ecole de Printemps 2012


またまたご無沙汰してしまいました。
波乱の2週間を乗り越えたので、久々に更新したいと思います。

先週一週間は、Ecole de Printemps(直訳すると「春の学校」)という
美術史研究者の研究発表会に参加していました。

毎年5月頃に5日間に渡って開催されるこのイベントは、
世界中の美術史専攻の博士課程の学生と教授陣がおよそ50人ほど集い、
1日の美術館訪問日を挟んで、残りの4日間は朝9時から夕方18時まで
発表を繰り広げるというもの。

毎年違う都市で開催されるのですが、昨年はドイツのフランクフルト
第10回を迎える今年はパリ、そして2年後にはなんと東京での開催が予定されています。

今では世界中を舞台に繰り広げられる大会も、
仲の良い数人の教授たちの発案から始まったようで、
記念すべき第10回の座談会では、思い出話に花が咲くひとときもありました。



世界中といえど、中心になるのはやはりフランスとドイツで、
そこにイタリア、イギリスも加わり、
さらに今年はカナダ勢(フランス語が公用語のモントリオール大学)も大挙し、
そんななか、唯一の欧米圏外からの参加が3人の日本人でした。

発表は英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語ならどれを使っても良く、
質疑応答もこれらの言語が飛び交います。
ヨーロッパの方は、他の国の言葉がしゃべれなくても理解はできるようで、
ただただ言葉を越えてのハイレベルな議論に圧倒されるばかりでした。
発表はドイツ語、質問者はフランス語で返答は英語とか...。

そんな日本ではまず出会うことのなかった環境で、
パリで留学生活を共にする2人の研究者仲間とともに、
フランス語での発表に臨みました。

私自身の今回の発表テーマは、ボナールの「傘を持つ女」をモチーフとした
デッサンのリトグラフの連作において、
そのフォルムがどのような変遷を遂げているかというもの。

巷にあふれていたポスターや日本の浮世絵の影響だけではなく、
ボナールが何枚も試みたデッサンの過程で徐々にかたちに変更が加えられ、
また手の動きと記憶の層が幾つも重なって、
特異なフォルムが生み出されていることを示そうとしました。

そこで20世紀フランスの現象学者Michel Henryの
「Mémoire des formes tangibles [触覚的なかたちの記憶]」という概念を引き、
哲学的な考察へと結び付けた(つもり)なのですが、果たして...



上は1894年のデッサンとリトグラフ、下は1896年のデッサンとリトグラフ
 



質疑応答では、核心的な内容ではなく、突拍子もない質問も飛んで
あたふたしましたが、沈黙を避けるという目標だけはクリアしました。

発表後、イタリアの先生がずばり彫刻家メダルド・ロッソの名前を出して下さって、
私の言いたいことが少しは伝わっていたんだなぁと嬉しくなりました。

ボナールとロッソはフォルムに対しての同じ問題意識を共有していて、
今回の発表でも扱おうか迷ったのですが、時間が20分と限られていたので断念していました。


そんなこんなで発表や講演会の間は緊張と語学力の限界、そして睡魔と闘いながら、
休憩中のコーヒーブレイクや、毎晩セミナー後に様々な国の文化財団から提供される
シャンパン、ワイン、プチ・フール、チーズなどを片手に
色々な国の先生や学生たちとおしゃべりを楽しみました。

5日間終えてみて、何人か親しい研究者仲間ができたのが一番の収穫です。



そして全日程を終えた後は、一緒に頑張った発表仲間3人と、
つたない発表の様子を温かく見守ってくださった美術史研究仲間のお2人、
さらに博士論文を提出されたばかりの先輩の総勢5人の女子会で労をねぎらいました。

オペラ通りから路地に入ったところにある小さなレストラン。
内装やお店の接客の雰囲気もとても素敵で、お料理も本当においしかったです。


前菜はアボガドとトマト、蟹のタルタル。
メインはガンバス海老と鶏肉のソテー。ソースや付け合わせのお米も美味でした。


デザートはピスタチオのフィナンシェとさくらんぼのソルベ♪

お皿や盛りつけもお洒落で、また何か頑張ったときはこのお店に来ようと思いました。


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