エッフェル塔のふもとにある日本文化会館では、
定期的に日本の舞踏や現代演劇の公演が行われていて、
学生は12ユーロというお得な料金でチケットが入手できます。
10月末から11月頭にかけて、マリヴォーさんと2つの舞台を見てきました。
ひとつめは、麿赤兒率いる大駱駝艦による金粉ショー"Crazy Camel"。
私が暗黒舞踏を知り、公演を見るようになったのは
大学院時代にPatrick de Vos先生というベルギー人の
舞台芸術専門の先生のゼミに出たことがきったけです。
そのゼミで、土方巽の貴重な映像資料を見たり、
あるいは、実際に室伏鴻の公演を赤坂Actシアターに見に行ったり、
世田谷パブリックシアターで山海塾公演に1万数千円つぎこんだり、
職場のイベントに大野慶人がうさぎの耳で登場したり、
はたまた三鷹の公園で催された唐十郎の紅テントに一人で
おっかなびっくり潜り込んでみたり、
ひととおり、色々と見てきてように思います。
しかし、チャンスはたくさんあったのに大駱駝艦だけは未見だったので、
今回パリ公演の金粉ショーに行ってみることにしました。
最初マリヴォーさんに誘われたときは金粉ショーというのが何なのか
よく知らないままに、行きますと二つ返事でOKしたのですが、
よくよく調べてみるとなんだか妖しい....
金粉シーンがあるとしてwikiに上がっている映画のタイトルも
大変怪し過ぎる....
まぁでも一度どんなものか見てみよう、マリヴォーさんも一緒だし大丈夫と
ポジティヴに考えて、公演当日を迎えました。
行ってみるとなかなか広い劇場にもかかわらず、
客席は満員御礼、しかもほとんどフランス人です。
開演時間になると会場に闇が落ち、
激しい音楽とともに、金色に輝く身体がぱっと浮かび上がります。
もっと生々しいものを想像していましたが、
金粉で覆われた身体も動きも照明もとても洗練されていて、
舞台美術として完成されていました。
おかしかったのが、金粉ショーの合間合間に挿入される
麿赤兒扮するセーラー服姿の少女と、もう一人の女学生、
そして学ランの男子学生の3人で繰り広げられる謎の寸劇。
ヴィヴァルディの四季をBGMに、モネの画集に春画が登場したりして、
フランス人の観客の分析意欲を煽りそうな演出でしたが、
とにかく麿赤兒の仕草が見事に可憐で、登場のときの間の取り方も絶妙で、
もう笑うしかありませんでした。
そんなこんなで、客席からはスタンディングオベーションも起こり、
公演は成功裡に終わりました。
続いて見に行ったのは江本純子が主催する女性だけの劇団毛皮族による「女と報酬」。
金粉ショーを見たあと、マリヴォーさんとこれも見てみようということになって
勢いでチケットを買いました。
舞台美術からしてはちゃめちゃですが、
ストーリーも一応あるようでいて脱線しまくりで、
何より登場人物たちの破天荒ぶりが痛快でした。
スピード感ある台詞まわしが特徴的だったので、
異国での字幕公演ということで苦労した場面もあると思いますが、
その字幕の遅れや翻訳不可能性を逆手にとって笑いに変えているあたりは
感心してしまいました。
ただ、後半ストーリーがややこしくなったうえに
前半のような目立った演出もなかったので、
少しうとうとしてしまうことも....。
一番盛り上がったのは、無秩序な女たちの大騒ぎの場面に、
カラオケを手にしたシスターが大まじめに賛美歌を唱いながら登場したシーン。
あと、麿赤兒のパロディ(?)も笑えました。
今年はあと三枝改メ六代桂文枝襲名披露のパリ公演があっておしまいですが、
また来年も誰がパリにやってくるのか楽しみです。
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