11/02/2012

ローザンヌと美術史


11月1日と2日、ローザンヌで開催された美術史のコロック、
XVe colloque de la relève suisse en histoire de l'art に参加してきました。

テーマは特になく、発表者の方法論を吟味するのがコロックの趣旨。

発表内容は、17世紀の活版印刷本の研究から、18世紀の画家のデッサン帳、
18世紀の室内装飾の修復、エリザベス1世の肖像画、
スイスの景観と観光ホテルの表象、
スイス現代アートのオーラル・ヒストリー、
そしてグラッセとヴァロットンと非常に多岐に渡っていました。

発表者はほとんどが博士課程の学生。
オーガナイザーも博士の学生だったので、とてもくつろいだ雰囲気でした。

パリに来てかれこれ3回目のコロックだったとはいえ、やはり緊張はします。
でも、スイス人の美術史の教授や学生たちはとてもsympa(優しくてフレンドリー)で、
発表の前の休憩カフェタイムや食事の時間にも興味を持って色々と話しかけてくれ、
参加者同士の仲間意識が程よく形成されたので、
落ち着いて発表することができました。
点数は70点くらいかな...でも今までの発表の中では一番良かったと思います。

質問やアドバイスもたくさんもらい、
終わった後も、あなたの言いたいことがよく伝わってきたよと
声をかけてもらえて、ほっと一安心。

2日間のコロック、新たな友人もでき、かけがえのない経験となりました。
何より、パリの美術史仲間ヴュイヤールさんと一緒だったので心強かったです。


コロック前日、10月31日にローザンヌ入り。
大学で用意してくれたホテルは、丘の上の瀟酒な建物。
夕方に着いたので、少しだけ旧市街を散歩しました。

坂の途中のお店にいた白いもふもふ。 一瞬で緊張の糸がほどけます...。

小さな旧市街は徒歩で充分。

ローザンヌのLouis Vuittonが草間彌生に染まっていました。




青い闇に浮かび上がる教会。


ホテルの部屋からはレマン湖を眺めることができました。

遠くから見るとちょっと瀬戸内海みたい...
やっぱり水辺は落ち着きます。



こちらはローザンヌ大学の構内。芝生では羊が草を食み、
その彼方にはレマン湖とアルプスの山々が広がっています。
東京やパリの大学では考えられない雄大な景色。
こんな大学で勉学に励んだら、 
まっすぐな心根の研究者がたくさん育つんだろうな...

2日目の発表を終えた後は、参加者全員でMusée de l'Elyséeへ。
庭園の向こうに湖を臨む美しい美術館です。


杖をついた眼光するどいおじいさんが開催中の写真展について解説してくれました。
NYのギャラリストHoward Greenbergのコレクションからおよそ120点を公開。
Cartier-Bressonをはじめ、Edward SteichenやDiane Arbusら20世紀アメリカの写真家、
チェコの写真家からMinor White、Robert Frankといった現代の写真家まで、
幅広い作品を上質なプリントで見ることができました。

彼は一体何ものだったんだろう。



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