粟島....それは、瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、
私は四国本島の、粟島の対岸に位置する海沿いで生まれ育ちました。
粟島までの汽船は、実家のすぐ近くの港から出ています。
といっても粟島まで船で渡ったのはせいぜい1、2回程度。
特に何があるという島ではないのです。
だから、いくら直島のあたりで現代アート旋風が巻き起こったからといって、
よもやこの辺鄙な島にまでそれが及ぶとは夢にも思いませんでした...。
ところが、ふと地元の温泉施設で手に取ったチラシをみていると、
粟島芸術家村滞在作家展なるものが開催されているではありませんか!!
しかも第4回!!!!!!!!!!!!! 毎年のように帰省していますが全然気がつかなかった。
三豊市が東京藝術大学と協力して始めたアーティスト・イン・レジデンスに
参加した作家の制作発表会という位置づけのようです。
一体どんな感じになっているのかこの眼で確かめたいと思い、
また記憶のかなたの粟島を再訪してみたいということで、
友人を誘って船に乗り込みました。
晴天はありがたいのですが、湿度は90%近く...日差しもきつく過酷な旅です。
作品は島のあちこちに点在しています。
まず向かったのがかつて国立粟島海員学校だった建物。
日本で最初の海員学校として明治30年に創立されたそうですが、
1987年には廃校となっています。
エメラルドグリーンのペンキで塗られた外観こそ新しく感じさせますが、
建物は古く内部の建築もレトロな趣きがあります。
調律もされていないピアノの音は輪郭がぼやけていました。
出品アーティストのひとり、水谷一さんの作品。真っ白い大きな紙...
だけど眼を凝らすと全体に薄くて細かい鉛筆の線がびっしり。
その作業に費やしたであろう時間に思いを馳せてしまいました。
木造の廊下。周囲の緑や海の青が反射して、鮮やかな空気が流れていました。
続いてメイン会場になっているのは、旧粟島中学校。
この薄紅色の貝殻がとても綺麗でした。桜貝でもないし、何という名前でしょう。
杉原信幸さんの土器によるインスタレーション。
ワークショップも開催されたようです。
桜貝と石、籠を使ったインスタレーション。
展覧会ポスター。粟島は船の碇のようなかっこいい形をしています。
こちらは音楽室。ピアノの上には、ベートーヴェンの鬼瓦。
アーティストの田村友一郎さんが、「讃岐装飾瓦」工芸士の神内俊二さんとの
コラボレーションで作り上げた作品。
理科室では、作品よりも棚や机のうえに置かれた実験道具に夢中になってしまいました。
こちらは図書室。水谷一さんが作品制作の一環として整理したとのこと。
中学生にしては高尚な本もあるなと思ったら海員学校のものも混ざっているんですね。
何だか自分が通っていた小学校や中学校の図書室を訪れてみたくなりました。
AWASHIMA NOTEじっくり読んでみたかったです。(あまりの暑さに途中で断念!)
さて、その他の作品はランドアートさながら島の大自然の中に
設置されている(はず)なのですが、猛暑と蚊の大群にすっかり意気消沈した
2人は、一番近場の作品に辿り着くのがやっとでした...。
ここは海ホタルが見られるスポットだそう。泊まりがけで来ないと見られません。
そしてこちらは田村友一郎さんが、この場所に元々あって埋もれていた
だるま釜を発掘したのだそう。
それぞれの作品名をきちんとメモしておくべきだったのですが、
暑さでそこまで頭がまわらず、作家名だけの紹介でご容赦ください。
粟島は2013年に開催予定の第2回瀬戸内国際芸術祭にも参加するみたいなので、
今後の展開がますます楽しみです。
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