CENTQUATREは、パリのはずれ、19区にあるアートスペースです。
パリ市庁舎の裏にあるCité Internationale des Artsと同じように、
アーティスト・イン・レジデンスの建物としても機能しているよう。
11月6日から13日にかけて、「Jeune Création [若い創造力] 2011 現代美術国際展」が
開催されるということで、画家の友達に誘われて急遽行ってみることに。
ちなみに、Jeune Créationというのはモンマルトルに展示スペースを持つ
アーティストの団体[association]で、今回の展覧会(公募展形式)もここが企画したそうです。
夜19時に始まるオープニングに向けて、
ひとりスタリングラードの駅から外へ出ると、そこは完全に移民街の趣き。
これはきょろきょろしていては危ないと思い、足早に猛然と突き進んでいたら、
曲がるタイミングを間違えたのか道に迷ったりして、
結局地図をくるくる回しながらやっとのことで辿り着きました。
入口には鮮やかなネオン。
一歩足を踏み入れると、そこは広々とした空間で、アーティストやその友人達、
とにかく若い人で溢れかえっていて、ものすごい活気でした。
パリでこんなに若者が集まっているのを見たのは、
5年前のCPE反対のデモ以来かもしれない...。
左右に別れたブースには、独特の空間を生かした展示が散りばめられています。
これは、カラメルがしたたるタブロー。何か甘い匂いがするな〜と思ったら.....
音もなく、ゆっくりと流れ落ち続ける画面。
発想としては非常によく分かりますが、撤去がものすごく大変そう。
鉛筆で塗りつぶされたモチーフ。一目見ればそれだけなんですが、
鉛筆の線が中心に向かって淀みなく引かれていて、
正面に立って見ると吸い込まれそうな引力がありました。
出品した作家が、ここ6年間で制作した作品全てを、
たった6分間で完成したYan Pei-Mingというアーティストの作品と交換したという
パフォーマンス(?)インスタレーション(?)
これも、制作にかかった時間と価値の関係を問うという意図は分かりますが、
本当にやってしまうというのはすごい。6年て結構長いですよね。
ドローイング作品。作家自身による解説パネルには、見ることと描くことと記憶を
テーマにしているという言葉があり、私も似たような関心をずっと持っていて、
膨大な資料を集めつつ自分の研究の核はそういうところにあると思っているので、
同じ感覚を持っているアーティストがいるというのは嬉しいことでした。
黒い折り鶴たち。鶴なんて、折る順番さえ分かれば誰でも折れると思っていたけれど、
実は小さい頃から馴染んでいないとなかなか身に付かない、高度な技らしいことを最近知りました。
折り紙の進化形?といって良いのか、紙を折ることで立体的で有機的な
フォルムを生み出した作品。特に展示室の床を這う白いオブジェの存在感は
圧倒的でした。
上の写真は会場のエントランス、下の写真は出口の横にある彫刻。
ちなみにこのCENTQUATREという建物、1873年に司教区によって建設されたのち、
1905年の政教分離政策によって、長らく市立の葬儀屋が置かれるという歴史を辿ったそうです。
共和主義的精神のもと、宗教の違いや、離婚した女性、自殺者、追放者であるといった理由で
それまで葬儀が行われなかった人々も、この機関のおかげでお葬式をあげてもらえるようになったとか。
1998年に葬儀屋としての役目を完全に終えた建物は、早くも2001年には時のパリ市長
(あ、今も現役ですね)ベルトラン・ドラノエが改造計画を打ち上げ、
2003年に2人の建築家によって改修が行われ、今の姿になったようです。
ともあれ、治安も含めて、夜にひとりで行くというのはやめた方がいいかもしれません...。
ちなみに帰りは会場で友達と落ち合って、新しく紹介してもらった
画家や写真家の皆さんとわいわいお酒を飲んで帰りました。
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