4月も終わろうとする日曜日、
ナビ派仲間であるヴュイヤールさんと2人で雨に濡れたGivernyを訪れました。
目的は、ジヴェルニー印象派美術館で開催中の「モーリス・ドニ―永遠の春」展です。
季節に合わせて、ナビ派の画家ドニが春をテーマに描いた作品を集めた展覧会。
ドニが暮らしたサン・ジェルマン・アン・レーの花咲く春の風景画や、
作曲家Ernest ChaussonやパトロンGabriel Thomasの為に制作した壁画には、
バラ色の花々に囲まれた女性たちが描かれています。
そして愛妻家ドニにとって、春は何よりも妻マルトに捧げられた季節だったようです。
また、受胎告知や4月の復活祭を主題にした宗教画と日常の風景を結び付けた
シリーズも展示されていました。
シリーズも展示されていました。
個人蔵の作品も多く出品されていて、
世界中のコレクターの元に散らばったドニの小品に思いを馳せ、
カタログ・レゾネ制作の苦労を慮りました。
美術館入口。藤棚はまだ育っていないようです。
調査でお世話になっているファビアンヌさんのインタビュー。
そして、せっかくGivernyまで来たのでもちろんモネの家にも立ち寄りました。
しとしと雨が降るなか、咲き乱れる花たちと変わらない佇まいの邸宅。
室内は撮影NGですが、パステルカラーの室内に浮世絵が所狭しと並んでいます。
傘の行列が可愛らしかったのでパシャリ。
薄いモーヴ色が美しいライラック。
この色を写真に収めるために、RICOH CX1を奮発したのです。
チューリップの色合いもさまざま。
バラの花びらはなめらかで心地よい手触り。
写真を通しても匂い立つ色香がありますね。
この青い小さな花はブルンネラという名前のようです。
もう少し可憐な響きの方が似合う気がするなぁ。
モネの庭は、花畑という言葉がぴったりです。
彼は絵を制作する以外の時間を庭仕事に費やしていたようです。
だから、モネの肩書きはきっと「画家、庭師」となりますね。なんだか素敵。
なかなかワイルドなヘアスタイルの鶏。モネも飼っていたんでしょうか...。
続いて睡蓮の庭の方へ。
若竹が生い茂り苔が生したこの一画だけを見ると日本の風景のようです。
そしておそらくみなさんの想像よりかなり広々とした睡蓮の庭。
日本の浮世絵でみた風景を愛し、この池を作らせたというのだからすごいです。
睡蓮の花の季節は6月のようですが、
花の咲いていない雨の池もモネはたくさん描いています。
オランジュリー美術館の《睡蓮》の連作も、この庭も、それぞれが「画家、庭師」であったモネの作品に思えてきました。
でも、足元に水平に広がる水面と
目の前に垂直に立ち上がる絵画を見る感覚は全くの別物。
このあたりにモネの睡蓮の秘密がありそうです。
樹の幹が視覚を遮るこんな構図の作品もありますよね。
雨粒の写真を撮るのが好きです。
帰り道、Vernonに立ち寄りました。
ボナールも暮らしたパリから電車で1時間ほどの小さな街です。
Vernonからバスで15分くらいでGivernyに着くので、二人はご近所どうし。
ボナールがモネの庭を訪れた写真もあります。
白いひげもじゃおじいさんがモネ。
ボナールは相変わらず曖昧模糊と庭を眺めていますね。
駅から10分ほど歩いた広場の壁の向こうに、旧市街が見えます。
そしてたどり着いたのがVernon美術館。古いお屋敷のような建物でした。
電車の時間が迫っていたので、滞在時間は15分ほどでしたが、
ボナールの小品2点があることを確認できて良かったです。
のどかな田舎の風景の中を歩き回り、
可愛らしい一軒家カフェでショコラを飲みながら、
あこがれの果樹園のある庭について語り合い、
理想の暮らしに思いを馳せる一日となりました。
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