風まだ冷たいですが、パリにも春らしい日差しが毎日降り注ぐようになりました。
一度は初夏のような暑さになったり、かと思えば気温がぐんと下がったり、
なかなか安定しませんが、それもパリらしい気候です。
ところで、フランスの春先の旬の野菜といえばホワイトアスパラ。
ということで、ラスパイユ大通りの、観光ガイドにも載っているらしい
日本人客で溢れるビオ・マルシェで立派なアスパラを2本仕入れてきました。
その他にもオーガニックのいちごやレモン、たまご、
バナナマフィン、スコーン、すみれの石けんなど....。
実はこちらに来て初のマルシェを大満喫。
ホワイトアスパラは、グリーンアスパラに比べてアクが強く筋が多いということで、
ピーラーで皮をしっかりと剥き、レモン汁と塩を入れたお湯で茹でます。
少し、くたっとなるくらいがちょうど良いみたいです。
ソースは、オーランデーズソースという、
卵とバター、レモン汁のシンプルなものにしてみました。
ソースの濃厚さとホワイトアスパラのほのかな苦みがよく合います。
ところで、ホワイトアスパラとレモンといえば、こちら。
オルセー美術館の5階展示室にさりげなく鎮座するマネの2点。
《オランピア》や《草上の昼食》でスキャンダルを巻き起こし、
19世紀のパリを生きる市井の人々を多く描いたマネ。
でも私はとりわけマネの静物画がとても好きです。
「オルセーで一番好きな絵は?」と聞かれたら、この2点を挙げます。
あんな挑発的な絵でスキャンダルを巻き起こして、
マネは型破りの奔放な人物だと誤解されがちですが、
実は生まれながらの繊細なブルジョワジーで、
自分の絵が同時代の人々に正当に評価されることを誰よりも望んでいました。
マネの手紙や文章を読むと、
自分の作品を面白おかしく揶揄したカリカチュアなどにも
いちいち落ち込んで、思い悩んでいたようです。
そんなマネが、気晴らしにでも描いたのか、
アスパラ1本とレモン1個という潔さも、
小品でも確かに際立つタッチと色彩感覚のバランスも、
すべての要素がこれぞ「絵画」と慎ましやかに主張しているようで、
愛すべき作品だとひそかに思っています。
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