10/07/2012

フィガロの結婚 オペラ・バスティーユ


マリヴォーさんとオペラ・バスティーユにフィガロの結婚を見に行ってきました。
バスティーユ劇場には5€の立見券なるものがあるのですが、
それを入手するために開演4時間前の朝10時半に劇場へ、
一か八かの挑戦に見事成功しました。

整理券が配られるので、4時間まるまる寒空の下待っていたわけではなく、
タイミングを見計らってカフェや昼食で時間をつぶしながら....
一人だとさすがにきついけど、二人なら頑張れます。

ともあれ、ほぼ丸一日を費やしてのチケット獲得劇〜オペラ鑑賞と
なりましたが、一日かけた甲斐のある内容でした。


最近ipodでよくクラシックを聴いていて、
モーツァルトのフィガロの結婚は最初に入っている曲なんですが、
いつも小さなイヤフォンから耳に入ってくる旋律が
タクトの一振りと共に劇場に響き渡る瞬間は感動ものです。

例によってあらすじだけ予習していって、
舞台上方に流れるフランス語字幕のこまごまとした台詞は
そこはかとなく意味を取り、
役者さんたちの歌声や動き、そして舞台美術に魅入っていました。


1幕と2幕はほぼ同じ舞台で、家具だけが少し変化する、
シックな色合いのクラシカルな室内。



そして休憩を挟んでの3幕でぱっと奥行きが開け、
見事な透視図法の空間が出現。
左手の窓から差し込む精妙な光が、外界の広がりを感じさせました。




言いようのない美しさを放っていたのが4幕。
庭園を描いた淡い背景に、舞台を浸す蒼い薄闇。
この舞台は、ヴァトーやフラゴナールらロココ趣味の絵画から
インスピレーションを得ているそうです。


とすると、やはりこのあたりの作品でしょうか。

 ヴァトー《シテール島への船出》1717年

フラゴナール《ブランコ》1768年頃


ボーマルシェが戯曲を書いたのが1784年、モーツァルトの作曲が1786年、
オペラの舞台となっているのが18世紀半ばなので、時代的にもぴったりですね。


この舞台美術を作ったのはイタリア人演出家のGiorgio Strehler(1921-1997)。
1973年にヴェルサイユのガブリエル劇場で初めてお披露目されて
大きな成功を収めたのち、舞台装置が2003年に廃棄されるまで、
実に160もの公演に用いられたようです。

ミラノのスカラ座が状態の良い複製を保管していたということで、
今回オペラ・バスティーユでの復活が実現。


40年近く前に考案された舞台空間ですが、
2012年の今も全く色褪せていませんでした。
そして照明の力はすごいなと改めて実感。



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