9/16/2013

ヴェネツィア・ビエンナーレ2013 Giardini



 遅くなってしまったけれど、6月末に訪れたビエンナーレのレポートを書きます。
1日目は、半日かけてジャルディーニ会場を巡りました。
6月とはいえすでに気温は30℃超えの猛暑...。

写真で見ると木漏れ日が綺麗で気持ち良さそうですね。

 入口からまっすぐ伸びるメインロードをイギリス館の方へ。

Russia|Vadim Zakharov, Danaë
ロシア館では、梯子の上には落花生をもしゃもしゃ食べるおじさん。

特別賞を勝ち取った日本館。

地上階にはデモ隊のパネル。見知った方の姿もちらほら...

田中功起さんの展示は、その道のプロが数人集って、
普通なら一人で行うことを共同作業する様子を映した映像作品の数々。
各プロジェクトを説明するアーティスト・メモ(すごい量!)や
会場構成、木や椅子も含めたインスタレーションになっていました。

前回の束芋さんのときとは全く違う空間で、
一歩足を踏み入れた瞬間はちょっと混乱しました。

ピアニストたちが一台のピアノを弾いたり....

 詩人たちがひとつの詩をつくったり....
 このソファーが気持ちよすぎたのか、
爆睡しているおじいさんがいました(笑)

美容師さんたちが一人の髪を切ったり.....
 作品と会場がとてもマッチしていました。
日本館ってこんなに広かったんだと再認識。

 すごくきっちりした展覧会に仕上がっていました。

ちなみに、壁や木材は昨年の建築ビエンナーレの
伊東豊雄さんの展示を再利用したそうです。


 おとなり韓国館は虹色の空間。
 この先に別の空間があるのですが....ノーコメント。


 ドイツ館は、ちょっとややこしいんですが、
フランス館がプロデュースしたアンリ・サラの展示。

Germany produced by France|Anri Sala, Ravel Ravel Unravel
空間を隔てた3つの映像作品が見事に共鳴していて、
眼と耳だけではなく、記憶も使って体験する作品となっていました。 

もっと時間をかけてゆっくり味わいたい作品でした。


 イギリス館はかなりインパクトのある展示。

Great Britain|Jeremy Deller, English Magic

展示空間の壁全体に、イギリスの過去や現在、未来の出来事やイメージが
展開されています。 

人もたくさん。みんな楽しそうに写真を撮っていました。


こちらがフランス館。ドイツによるプロデュースです。

中央の部屋にはAi Weiwei。あと3人が選ばれていました。
 Ai Weiweiのこの作品は知っていたけど、実際に体験するのは
はじめてだったので、良い機会になりました。

チェコスロヴァキアの展示スタイル、何だか好きです。

フィンランド館では 薄闇のなかに浮かぶ蒼い光。
綺麗だな〜と見つめていると、この光は死にゆく動物たちの体温を
反映したものであることが分かりました。


 これはデンマーク館だったかな....一緒に行ったマリヴォーさんと記念撮影。
この辺りから暑さで頭が朦朧としてきました。


アメリカ館は繊細を極めたインスタレーション。

 小宇宙のときに美しく、ときに愛らしい
ディティールに心奪われました。

 United States of America|Sarah Sze, Triple Point






橋を渡ってルーマニア館へ。
ヴェネツィア・ビエンナーレの歴史をパフォーマンスで振り返るという果敢な試み。


 私はあまりビエンナーレの歴史に詳しくないので、
どなたか、これらの動きを見て思うところあればぜひ教えてください。

 知識はなくとも普通にパフォーマンスとして見ても面白かったし、
何より蒸した会場の中で動き続ける彼らに感服でした。


何とか各々のパヴィリオンを見終えて
ふらつきながらもセントラル・パヴィリオンへ。
こちらも何やらパフォーマンスが展示室の中央で繰り広げられていました。


日本からは大竹伸朗さんのスクラップ・ブック。
 無機質なガラスケースと青白い蛍光灯がいい味出してました。


 続いてはお楽しみのPeter Fischli and David Weiss
全ての粘土作品が公開されています。

どれもこれも絶妙な可愛さ。
 金沢での展示を見逃してしまったけれど、
ヴェネツィアで出会えて幸せ。



粘土の森は何時間いても飽きなさそうだったけど、
閉館時間が迫ってきたので次の展示室へ。

手前のお家は
Oliver Croy and Oliver Elser, The 387 houses of Peter Fritz (1916-1992) 

リチャード・セラが空間を引き締めていました。

ロジェ・カイヨワが集めていた鉱物と、
中国のアール・ブリュット作家のドローイングを並べた展示。
 Stone collection of Roger Caillois and Guo Fengyi's drawings
形態の構造の類似という観点から両者を同じ空間に並べるという
センスが良いなと思いました。

 Domenico Gnoli, What is a Monter?, 1967

Eva Kotátková

何とかセントラル・パヴィリオンを一周して
閉館時間ぎりぎりに外に出ました。

2回目のビエンナーレ、ジャルディーニの国別展示を見終えて
どの国も歴史ある美術の祭典のために
現代美術の動向を見据えつつ、各国の個性も出しつつ
予算の制限もあるなかで最高の展示を模索しているのだと思いますが、
あまりにもそれらがきれいに整い過ぎると
どこか予定調和的なものになってしまうし、
かといってあまり突拍子もないこともできないし、
バランスを取るのが難しそうでした。

公演のベンチに放心状態で座っていると、
可愛らしい女の子が声をかけてきて、
この近くで展示をやってるからぜひ見に来てねと。

最後の体力を振り絞って、
Museum of Everythingの屋外展示へ。


どういう組織なのかちゃんと調べていないのですが、
彼らの展示をパリでも見たことがあって、
私の認識している限りでは、
アール・ブリュットの作品のみを扱う移動式展覧会のプロジェクトを
展開している団体です。

ご覧の通り赤の縞縞がトレードマーク。

ヴェネツィアでの展示はCarlo Zinelliという作家のドローイングのみでしたが、
パリで見た展示は巨大な平面作品や立体作品もあり、
作家の国籍も多岐に及んでいて
かなり本格的に活動しているなという印象でした。

何より会場作りやグッズのデザインがポップで
スタッフも皆フレンドリー、
一般の人がアクセスしやすくというのを徹底しています。
 
今年のビエンナーレは、アール・ブリュット&
アール・サンギュリエの作家がとても多かったので、
何か関連があるのだろうと思います。
 

 ヴェネツィアのもふもふ。触りたかった〜

夕飯は、テラス席でワインとピザ
 やっぱり誰かと一緒だとこんな夕食が楽しめて良いですね〜


帰りは少し涼しくなったので、
夕暮れ時のヴェネツィアの街をのんびり歩いて
ホテルまで戻りました。


 カナレットとグアルディに思いを馳せつつ、
1日目は就寝。

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